放送禁止歌作者: 森達也,デーブスペクター出版社/メーカー: 解放出版社発売日: 2000/07/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (33件) を見る

森達也の作品をどんどん読んでいく中で、この『放送禁止歌』の話もところどころ耳にし、本当はドキュメンタリーも見たいのだが、とりあえず、本を読んだ。

 相変わらず彼の主張の真ん中を貫くのは「思考停止」だ。
 今回暴かれているのは、放送業界の思考停止。
 放送禁止歌と言うものは本当に存在するのか。
 あの歌は放送禁止歌か…。

 それを探る中で、放送業界の思考停止が暴かれていく。
 何も考えずに、それまでの慣習に何の疑問を持たずに流されていく。それが、何を意味するのか。 考えなくては。
 これは、メディアの世界に生きる人には本当に読んでもらいたい本だ。

 そして、また、自分の「思考停止して、楽にいきたい」という気持ちを押しのけて、考えてみると、やはり悩む。
 私が、結婚するとか、なんやらという大きな問題にぶち当たったとき、何の問題もなく、受け入れられるか…。
 越えなければ、こんな、卑小で愚かな自分を。
 もっと、人間を人間と思えるようにならなければ。
 女とか、男とか、出身とか、仕事とか、そんなことより先に、人間をみれるようにならなければ。
 カテゴライズせずに、人間を見なければ。



 差別意識があると、認識している人間のほうがまだましだ。
 認識せずに、ただ、頭の奥底に潜ませていることがなんと恐ろしいことか。
 だがそれは、存在している、潜んでいるだけで。
 考えるべきだ。そうすれば、努力できる。そうすればいつか、変われる。 事実を知れば知るほど、自分の意識は確立できるから。その差別の元が、どれだけのものかと、どんな不条理なことかと、納得すれば、きっと、なくなるから。 自分が確立できれば、そうすれば、社会の風潮になんか、流されなくてすむ。
 そう信じているから、私は考えたい。そして、自分を確立させて、自信を持ちたい。 自分と言う人間を、私であると言うだけで、ただそれだけで、肯定するために。 誰の評価も、誰に合わせることも、いらなくなるように。





 これを読んで、デーブ・スペクターが好きになった。