なぜフェミニズムは没落したのか (中公新書ラクレ)作者: 荷宮和子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2004/12メディア: 新書 クリック: 21回この商品を含むブログ (28件) を見る
80年代フェミニズムが人々に受け入れられなかった理由を書き表した本。
著者はフェミニズムではなく、「フェミニズムのようなもの」を体現していたという人で、フェミニズムには批判的。
あまりにも批判的で、かつ、自省があまりにもまったくなく、かなり文章的に嫌な気分になる。
確かに、と納得するところもあるが、全体的には私はこの著に反対。
アカデミックな部分と、現実的な部分を同じ土台でかたっても仕方ないのだ。もともと違う土台のものなのだから。求めてどうする。
だから、現実的な部分をもっとアピール人がでればよかったんじゃない?
あなたが。
しかし、確かにフェミニズムは「徹底的」という部分で、また男目線で女を分割しているという点でまったく失敗を犯した。
潜在的な信奉者をなくすに至ったろう。
そして、確かに、「自分にとって心地良いことをやり通すふてぶてしさをもって行動する」のはいいかもしれない。
数少ないが、共感した言葉たち。
「今の日本は、差別のない社会」という絵空事を心から信じている人々は、何らかの不利益を被っている人間がいるとすれば、その原因は本人にあるはずだと考える。今はやりの「自己責任」というやつだ。
(p88)
「同和地区の人は市営住宅に優先的に入居できるし家賃も割り引かれるのでずるい」
「阪神大震災の被災者は(以下同文)」
こういった発言を見聞きするたびに、「じゃあおまえら、『市住に入れてやるから一生を部落民として生きろ!』『市住に入れてやるから地震で何もかも失ってしまえ!』って言われたら『喜んで!』っていうんかい!?』と思ったものである。
(p256)
「自分自身」がどうこうするのではなく、自分よりも「弱き」側に属する人間をたたくことで、それなりの満足感を得ようとしているのである。
(p258)
「金も仕事も、夫も子供もほしい」
(p246)
「たまたまチンポがついていたというだけの理由で、女よりも上の給与と地位を約束されてきた」という事実に対して、男はもっともっと、「後ろめたさ」を感じながら生きてほしい。
(p218)
1940年ごろ、「お城で王子様に見初められて幸せに暮らす」という話のよりも、「職業婦人になる」というほうが御伽噺であった。