『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』 遙洋子
- 作者: 遙洋子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/01
- メディア: 単行本
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あぁ、読んでよかった・・・ と思わずにはいられない。
私はもともと本に対して、食わず嫌いが激しい。
だから、結構有名な本になると、読まなくなってしまったりする。
あぁ、なんともったいない私の人生。
さて、この本の著者のことは、私はタレントだとは思っていなかった。
もともと、遙洋子の日経ビジネスの連載を読んで、その的確さと辛辣さに感動していたのだが、この人が若さと美しさを売りにタレントをしていたとは知らなかった。
さて、そんなこんなで、まず先に、遙洋子のコメントに共感していた私だが、彼女が東大に上野千鶴子に学びに行っていたとは、知らなかった。 なんという無知!
食わず嫌いの私は、すっかりこの著者はどっかの一介の学者の卵だと思っていたのだ。
否、彼女はタレント上がりだった。 だからこそ余計に女について考えさせられたんだろう。
美と若さを価値としておく世界ですから!
この本を読むきっかけになったのは、ちょいとつけたTVに上野千鶴子が出ていたから。
私は高校生のときから、フェミニズムを女が語ると、ヒステリーと思われて嫌だ!だから男が語れ!私は違うものを語る!
と、はっきり言って、いつもフェミニズム的な発言をキーキー叫んでいたにもかかわらず、絶対にフェミニズムにかかわってたまるものか、と思っていたのだ。
だから、文系の学科に入っても、女性学には手を触れまいとしてきた。
でも、気付けば議論している私・・・
あぁ、あまりにも気にしすぎている自分が嫌で、フェミニズムを離れようとしていたのに。
という思いは何時もあり。
そして、その思いが、女性学の超有名人 上野千鶴子はフェミニズム語ってる=キーキーうるさくって、女で、フェミニズムを語る人間を悪い印象にしている!
と、勝手にみたことも読んだこともないのに、決め付けていた。
が、TVをみたら、何よ、かっこいいじゃない・・・。
私がバカでした。 相変わらずの食わず嫌いで批判してました。
宮本輝のときと同じです。
てな具合で、この本も読んでみることに・・・。
怖い。 怖すぎる。 上野千鶴子。 こんなゼミ、恐ろしすぎる。
と、感じつつも、とてつもなくうらやましい気分になるのだ。
あぁ、こんな勉学してみたい、こんな勉学をしに大学にいきたかったのに!
ただ、今の自分には知識量が違いすぎて無理だ・・・と思うばかりで、悲しみがつらくのしかかる。
あぁ、私はやはり、無知なのだ、と、知らしめさせられた。
無知だと自覚する瞬間は、プライドの無駄に高い私にはとてつもない苦痛で、 寝る前の一時間ほどベッドで読もうとしていたこの本を、読み終えることができなかった。
読むのをやめたら、考える時間があたえられるのだから。
だから私は、考える時間を持ちたくなくて、読み続けた。
遙洋子の勉強量とその努力はすさまじく、芸能人てすごい・・・と感心してしまった・・・。
さて、この本の中で、付箋を貼ったのは、どれも女性学に直接言及したところではない。
「オリジナリティは情報の真空地帯には発生しない!」
おぉぉ! もっと学ばねば。。。もっと本を読まねば・・・。経験をつまねば。
このオリジナリティは、思想のオリジナリティをあらわし、そしてそれはつまり、自分というもののオリジナリティをあらわす。
私の近頃の悩みは、自分が自分の価値観を持っていないということ。
自分の価値観を持っていないから、だから、他人の価値観を気にする。
そして、他人の目を異常に気にする。 最低だ。
もっと、学ばねば。
「過度のストレスがかかると、身体はもうこれ以上モノを考えさせなくするための防御反応として、強制的に眠らせて思考をストップさせるそうだ。」
そうなのか!私が難しい本を読んでいて眠くなるのはそれか! と、納得。
「一人の時間を持ちなさい。自由にものを考えなさい。決め付けず、逃げず、面倒くさがらず、人と相対しなさい。」
そうやって、自明とされる物事に批判的に向かわないと、今の世の中、流されていくだけでは、おかしくなっていくばかりだ。
「幸せ」はひとつという社会教育の弊害かもしれない。
これは、幸せが一つだと、真理が一つだと、信じて疑わない若者が多くいる、という現状を見たときの遙洋子さんの言葉。
そのとおり。だけど、近頃は、変わってきた。
幸せが一つだという、真理が一つだという考え方ではなくなってきた。
学問の世界が、権威主義から少しだけ解き放たれて、一般大衆にも触れるようになったのかもしれない。
それから、言語が私たちを形作るということを学んだという言葉。
これは何時も私が心に思っていること。
このことも、今では、一般的に認知されるようになってきたなぁ。
それから、これはジェンダーにしっかり関係してるけど
「ジェンダー論を学ぶことと、ジェンダーから解放されることは別の話だ。」
こういってくれるとありがたい。
ジェンダーを語り、憤るけど、でも、かわいい女になりたいし、スカートだってはきたいんだもん!