この頃の私はどうしようもない。
 そしてこれが悪循環を起こして、よけいに立ち直りが厳しくなっていく事くらいわかりきっている。
きっと本当に後1ミリもない努力、というよりも勇気で事はうまい方向に向かって行くに違いないのに。

 あまりにも、自分の起こした事であるが故に、誰に当たる事も、誰かの所為にして自分を慰めるわけにも行かない。

 
 小説を読みながら、中央線を2往復すると、自分が現実の中にいるのか、夢の中にいるのか、全くわからなくなった。

 同じように、今日、朝起きたら、リアルな夢を見たと思いたかったが、それはリアルな現実でしかなかった。



 あいも変わらず島田雅彦のセックスとペニスとオナニーばかりのお伽話を読んでいると、よけいにこの電車の中にいる私は夢なんじゃないかとほのかな期待を持ってしまう。だけど、ふと顔を上げてみるとその目の前にたっていたのはタダの現実だった。
私はただ、夢の世界に入り込んだふりをしていたかっただけだった。

 あいも変わらず状況は変わらず、月曜に起きた事も、今日の明け方に起きた事も、中央線で2往復している事も、全てが消えて、2年前にもどっている事なんてない。

今は、2年前にもどりたい。
 今の自分が嫌いだって訳じゃない。
でも、後悔してる。
そして、アンジュは眠りにつく (新潮文庫)
 
 

この帝国では一体どれだけの人々が取り返しのつかない過去を嘆いている事やら。
......後悔しても空しいだけなのについ考えてしまうものなのよ。もしもあの時にそうしていなければって。
でも、その時の選択はたぶん正しかったのよ。その時の動機や目的は忘れられているけれど、何年も後になって「どうしてこうなってしまったの」という疑問は永遠に消えない。

(無断借用 『そして、アンジュは眠りにつく』 島田雅彦 より「バラの騎士」の一節)