『ここに地終わり 海始まる』 宮本輝

ここに地終わり海始まる(上) (講談社文庫)

ここに地終わり海始まる(上) (講談社文庫)

 あぁそうなのか、だから私は”旅に出なければと”と強く思うのだ。周期的に、もしくは突然 気付かされる。

 自己発見しなければならない、と。
自分を得なければならない、と。
そう 意味のない空虚な時間を過ごすと 思うのだ。
きっと。



 この小説は、思っていたのと違って一歩も日本を出なかった。
 
が、いつものとおりに再生の物語であり、さわやかに話が終わっていく。

 主人公が他の登場人物に(特に梶井に)動かされているようで、しかし全ては彼女がKEYWORDであり、中心である。

 LASTには梶井はひどく魅力的であり、また、勿論今思い返してみれば(読んでいる間はどうも嫌な男であったし、全て嘘がばれれば良いのに!っと願ったが)人間らしい本物っぽい小説の作られた人物であった。

 あぁ、私が彼に特に強い嫌悪を感じたのは自分と似ているからなのかもしれない、と今思い当たる。


 なんともまた2時間ちょいで読み終えてしまった。もったいない。

 再生物語ってやっぱり最高!



 では、島田雅彦のよさは? → 人間の本性?生々しさ?虚構さ?主人公の豊な性格?

 やはり、父母の愛に涙する。