『彗星物語』 宮本輝
- 作者: 宮本輝
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1995/03
- メディア: 文庫
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“喪失”というものは、なぜこんなにも哀しくて、そして美しいのだろうか?
何て思ったわけです。
『彗星物語』は上下巻合わせて3時間で読めると言うお手ごろさのくせに、最後には思いっきり泣かされたし、幸せを感じる。
6人家族+義父+義妹とその子供達+自分を犬だと思っていない犬フック という大家族に共産主義国家から3年の猶予で日本に留学してきたハンガリー青年の三年間の話。
皆に欠点が有って、皆ちょっと変で、いさかいが絶えなくて、理不尽で、わがままで、本気で怒って。
本当におきていそうな、本当に起こり得るような気がするような、普通の話。 というのも、登場人物の感情が本当に普通だから。
えらく聖人みたいな奴もいないし、えらく悪い奴もいない。 わがままな、人間たち+犬。
すぐに読めちゃうのに、あぁ、なんだか壮快な?爽快な?壮快な、涙と感慨に包まれる。
それから、井坂幸太郎の『チルドレン』や、平安寿子の『もっとわたしを』リンク>みたいな、短編集なのに、一個目の話の脇役が二個目話では主役で出来る、みたいな“おかしさ”とか、“つうっぽさ”みたいなのが好きな人は、途中で出てくる、中学校のテストに、自分の(=宮本輝の)作品使っちゃうあたりに、楽しさを感じるでしょう!